熊本市内から阿蘇へと向かう国道28号沿いにある、目を引くとんがり屋根の店が創業60年を数える「アントルメ菓樹」だ。誕生日ケーキやおもたせを求める人、ケーキやアイスクリームでひと息つきに訪れる人などで日々賑わい、クリスマスともなると店前には小さな渋滞が起きる。付近の住人にとって、「アントルメ菓樹」のデコレーションケーキなしにはクリスマスの食卓は完成しない。「渋滞緩和のために、3日間はクリスマスケーキのみの販売にしました」と同店の3代目社長、柴田悠貴さんは言う。初代が店を始めたのは1965年のこと。当時はカステラなどを置く和菓子屋で、店名は「松月堂」だった。フランスで修業した2代目の博信さんは、現在の名前に変え、洋菓子店のイメージを定着させていった。博信さんが考案した「菓樹ふろらんたん」は誕生から30年以上経つ今も、人気商品だ。フロランタンは、シュクレ生地にアーモンド入りのヌガーを重ねた定番の焼き菓子だが、同店の「ふろらんたん」はスティック状で食べやすく、ごく薄いヌガー部分は、サクサクの土台と同様に歯切れがよく、とにかく香ばしい。
経営戦略に長けた3代目が代表になると、本店、ジェラート店の「グラン菓樹 並木坂」、熊本駅構内の「えき菓樹」、生ドーナツが好評の「THE SONS’ TALK」に加え、海外にも進出。2025年2月に、台湾の台中に海外1号店がオープンした。店舗数やネットショップでの売上げ増加に伴い、25年3月には本店隣に工場を新設し、通年人気の「ふろらんたん」と夏のゼリーとジェラートという、果樹の主力製品それぞれに特化した作業場ができた。企業理念である「喜びの分かち合い」は長年愛される菓子の魅力と、新しいリーダーのけん引力によって熊本から世界へと広まっている。






